主に幻聴が多くみられます。
明らかに誤った内容なのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れない。
全ての方ではありませんが、うつ病とまったく区別のつかないうつ状態で発症することがあります。思春期に発症しやすい病気ですから、慎重な診断が重要になります。これらの症状が1か月以上、また継続的に何らかの障害が6か月以上続く場合、統合失調症の可能性があります。詳しくは、専門機関にお尋ねください。
誰もいないのに人の声が聞こえてくる、街ですれ違う人が私を襲おうとしている、といった幻覚、妄想などが主な症状の病気です。また、これらの症状を患者様自身が病気だと認識するのが難しくなる特徴があります。以前は、精神分裂病(せいしんぶんれつびょう)と言われていました。
およそ100人に1人がかかる病気と言われ、特別珍しい病気ではありません。しかし、日常生活や社会生活においても、会話が成り立たなかったり、意欲がわかなかったりといった障害も出るため、周囲からは「社会性がない」「常識がない」「怠けている」といった誤解もうけやすくなります。会話が成り立たないといっても、まったく話が通じないわけでもありませんし、きちんとした治療を行うことで、ほとんどの患者様は回復していきます。
はっきりした原因はまだわかっていませんが、脳で働く神経の伝達物質の働きが悪くなっていることと、脳自体の異常と考えられています。発症が進学・就職・独立・結婚などの人生の進路における変化がきっかけとなることもありますが、あくまできっかけであって原因ではありません。
統合失調症は一般的には、いくつかの段階を経ていくと言われていますが、個人差が大きく、全ての患者様が同じ経過を辿るとは限りません。病巣の移行は連続的ではなく、繰り返される可能性もあります、しかし、適切な治療とサポートによって、経過は大きく左右されます。
これらの変化は、日常生活でもよく起こることで、うつ病などの症状とも似ているため、患者様も周りの方も病気のサインと気づきにくいことがあります。
前兆期に続いて急性期に入ると、幻覚や妄想など統合失調症の特徴的な症状が現れることがあります。これらの症状により、考えがまとまらなくなって混乱したり、周囲とのコミュニケーションが難しくなるなど、日常生活に影響が出る場合があります。
急性期の症状が落ち着き、休息期(消耗期)に入ると、感情の起伏が乏しくなる、無気力になる、活力が低下などの症状が見られます。
急性期で消耗した体力がまだ回復しておらず、少しの刺激で再び症状が出やすい傾向にあり、注意が必要です。
症状が徐々に和らぐ回復期になると、意欲の低下した状態から徐々に改善が見られます。
しかし、記憶力や集中力の低下がみられる場合もあります。
統合失調症の治療は、薬物療法と心理療法を中心に行われます。
統合失調症の症状を安定させるために、服薬はとても重要な役割を果たすと考えられています。主に抗精神薬が用いられ、患者様の症状に合せて、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入薬が使用されることもあります。また、抗精神薬の副作用を軽減させるための薬を処方する場合もあります。
第一世代抗精神薬(定型抗精神薬)と第二世代抗精神薬(非定型抗精神薬)があり、それぞれ効果や副作用の特徴が異なります。
症状が改善されたと感じても、自己判断で服薬をやめると、再び症状が現れたり悪化したりするリスクが高まります。抗精神薬は、症状の再発を防ぐ効果も期待されますので、医師の指示に従って薬を飲み続けることが大切です。
服薬することによって、副作用が現れる可能性もあります。副作用の種類や程度には個人差がありますので、少しでも気になる症状が現れた場合は、自己判断をしないで、まずは医師まで相談をしてください。
心理療法は、病気の症状や原因について理解を深め、薬をきちんと服用すること、病状に影響すると言われているストレスとの上手な付き合い方を学ぶことを目的としています。
認知行動療法など様々な種類の心理療法があり、患者様の状態に合わせて選択されます。心理療法は、症状の軽減だけでなく、社会生活への適応や再発予防にも役立つと考えられています。
統合失調症は、適切な治療(薬物療法や心理療法など)を継続することで、多くの方は穏やかな日常生活を送ることができています。しかし、再発しやすい傾向があることも知られています。特に、ご自身の判断で服薬を中断することが、再発の原因となることが多いと言われています。
再発を繰り返すと、症状が再び落ち着くまでに時間がかかるようになり、以前の状態に戻るのが難しくなります。また、記憶力の低下、注意力が落ちるなどの認知機能の障害が進んでしまうことがあります。
統合失調症の治療において、再発を予防し、安定した状態を長く維持することは重要と言われています。
症状が改善されたと感じても、自己判断で薬を減らしたり、中断しないようにしましょう。抗精神薬などのお薬は、急性期の症状を抑えるだけではなく、その後の再発を予防する効果も期待されています。
医師と定期的に面談し、体調や症状の変化を伝えることで、適切な治療を継続できます。
また、早期に再発の兆候を発見し、適切な対応をとることにもつながります。
ストレスは、統合失調症の症状を悪化させたり、再発のきっかけになる場合があると言われています。規則正しい生活を送ることで心身の安定をはかり、リラックスできる方法を見つけたり、ストレスを軽減することが大切です。
統合失調症の患者様が幻聴や幻覚を訴えられた際は、まずはその体験を否定せずに耳を傾けてあげてください。患者様には、現実にはない声が聞こえていたり、誰かに監視されているように感じて、強い不安や恐怖を感じていることがあります。まずはその気持ちを理解しようと努めることが大切です。否定的な対応は、患者様を孤立させてしまう可能性があります。
患者様に何か伝えたいときは、はっきりと具体的に話し、一度に多くの情報を伝えないように心がけることが、コミュニケーションの助けとなります。
統合失調症は、発症後5~10年程度は、再発のリスクが高い傾向にあると言われています。再発のサインは患者様によって異なりますが、その方に特有の発症パターンがあることもあります。
上記のような、気になる症状が見られた場合は、速やかに受診を勧めてあげてください。
当院では、患者様のご家族からの相談も承っています。
統合失調症は、精神疾患の中でも自殺のリスクが高い病気の一つであるという報告があります。社会生活への不安、症状の悪化や再発の恐れ、妄想や幻覚の症状、抑うつ状態などが複合的に影響していると考えられています。
もし、患者様が「消えたい」「居なくなりたい」など、自殺をほのめかすような言動をされた場合は、ためらわずに専門機関への相談や受診を促してください。
患者様のサポートは、統合失調症の治療において非常に重要です。
「家族の問題だから」と抱え込まず、ご自身の心身の健康にも気を付けることが大切です。
ご予約・お問い合わせ:03-3961-9603 ご予約・お問い合わせ:03-3961-9603