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当院の治療方針

メンタルクリニックいたばしでは、常に対等な立場でお話をさせていただくことにより、患者様と信頼関係が築けると考えています。目線を合わせて、精神や心と向き合うことで、人間対人間という感覚で接します。当院のすべての診察室で、患者様と治療者の椅子が同じであることも、この治療方針がもとになっています。

決して「治してあげる」と言うような一方的な働きかけとならないよう、患者様を「社会的存在であるひとりの人」ととらえています。

社会的存在であるひとりの人として

診断や治療のときに、患者様を3つ、あるいは4つの次元からとらえ、そのバランスを注意深く観察します。

まずは、3つの視点から総合的に判断します。

  1. 脳の機能はどうか(生物的次元)
  2. 職場や学校、家族内の状況はどうか(社会的次元)
  3. 心の状態はどうか(心理的次元)

4つ目の「実存的次元」とは、自分の生きている意味が分からないことや、存在している価値がないのではないかと考えて不安になってしまうことです。当院は2つの理由から、ごくわずかな例外を除きこの領域にはタッチしません。

ひとつは患者様が疲れた頭でこのようなことを考えても、およそ良い方向には向かわないため、もうひとつはこれらのことに正解はない、あるいは逆にすべて正解だからです。しかし、必要な場合は、患者様の考え方を整理するという立場で話し合います。

診断および初期治療の主体となるものを発見します

実際には、どのようにこれらの次元に分けた診察が行われているのかについて、最も多い「気分の落ち込みに苦しんでいらっしゃる患者様」を例に説明してみましょう。

まずは症状の経過、性質、他に症状はないか、家族関係、症状が出現する以前にさかのぼった生活状況、元来の性格などをお尋ねします。そして、「本物のうつ病(かつて内因性と呼ばれました)」なのか、他の原因によるうつ状態なのかを鑑別します。その結果うつ病と診断した場合、それは脳の一時的な機能障害(生物的次元)によるものですから、薬物療法(生物的次元)と休息(社会的次元)が初期治療の主体となります。

再発防止のため、患者様に情報提供をしています

うつ病は再発率が高い病気ですので、症状が改善してからは、再発防止が重要になります。職場での過労、家族内の葛藤(社会的次元)などがきっかけになっている場合は、それらを軽減する方法を一緒に考えていきます。

例えばうつ病は、非常に再発率が高い病気です。うつ病の症状を改善させる治療を行うだけではなく、病気に関する情報をできるだけ提供します。情報を提供することにより、もし再発しそうになったらすぐに再受診できるような環境を整えます。このように患者様を支えることも、メンタルクリニックの医師としてやるべきことだと考えています。役立つパンフレットも待合室に置いてあります。また、当院を受診されるまで、長く苦しんで社会的技能も低下されている方には、デイケアの利用をお勧めしています。

他の原因によるうつ

問題は、他の原因によるうつ状態です。急務を要するのは、身体疾患による(脳腫瘍、甲状腺疾患など)もので、それが疑われる場合は速やかに検査を行います。また、幼少期の虐待など(心理的次元)から成人してうつ状態になられた方には、カウンセリングを含めた精神療法(心理的次元)を行っています。

このように「社会的存在であるひとりの人」と向き合うには様々な方法が必要です。お一人で悩まず、まずは当院までご相談ください。

カルテの開示を行っています

メンタルクリニックいたばしでは、ご希望される患者様やご家族の方にカルテを開示しております。 患者様と医師が病気について情報共有し、検査や治療結果についてしっかりと話し合いをすることは有意義なことと考えておりますので、不安なことや疑問があればどうぞいつでもお申し出ください。