自分のおならや腋臭、自分の視線、自分の容貌が醜いことなどで他人に不快感を与えているという妄想をもつ病気です。(それぞれの症状から自己臭症、自己視線恐怖、醜形恐怖とも言われています。)「臭い」と言われる、鼻をつままれる、嫌な顔をされるなどと確信(関係妄想)しています。
特徴的なのは、他人に不快感を与えているため、自分は嫌われている、避けられているという妄想(忌避妄想)をもつことです。そして他人に申し訳ないと考えてしまいます。10歳代中頃から後半にかけて好発するので、このように呼ばれています。
統合失調症とは全く異なります。思春期妄想症で関係妄想が出現しやすいのは、中間的な対人距離(挨拶したものかどうか悩むような関係)の人の前にいるときです。家族などごく親しい人や、逆に赤の他人の前では気になりません。統合失調症の場合は、赤の他人(時にはTVに映っているアナウンサー)も自分のことを言っているように感じてしまいます。
「両親に対しての不満・敵意」「性的なこと」「学校・職場のこと」などが心理的葛藤となってあらわれることがあります。
大規模な調査はまだ行われていませんが、治療をすれば社会的な機能(登校できる、教室で落ち着いて座っていられる)は多くの場合回復します。臭いや容貌、視線は少し気になりますが、治療を継続していれば日常生活に支障が生じることはまれです。
統合失調症などの妄想に有効な抗精神病薬は、あまり効果がありません。抗不安薬を用いる場合もありますが、依存を形成しない薬(SSRI)の方が好ましいと思います。関係妄想のため当初は苦痛で仕方なかった教室でも、比較的安心して過ごせるようになります。その頃になると、「考え過ぎかな」、「本当に臭っているのかな」といった、健康な考え方が少し生まれてきます。その健康な部分を強くサポートするのが、心理療法です。
患者様の状況に応じて、カウンセリング、箱庭療法などの心理療法を行います。
さまざまな心理療法(当院の治療法)
※自由診療となります。
思春期の方用のプラグラムです。集団生活に触れながら復学を目指すことができます。
思春期ナイトケア
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